24人が本棚に入れています
本棚に追加
/55ページ
「重要なのはその後です。」
「そのあと?」
「桜さん。」
「は、はい!」
少女に名前を呼ばれて桜は学校の先生に呼ばれた時の様な返事をした。
「あなたは椿さんに怒られませんでした?」
「え?あ、そうですね…怒られたかも、いい加減にしなさい閉めますよ。とかなんとか。…で、でもそんなに強くではないですよ、笑いながら冗談みたいに…。」
「椿さんはいつもそんな感じで叱りますか?」
「え?ええまあ、いつもそうです。優しく叱ってくれます。」
「厳しく怒られたことはありませんか?」
「え、そりゃあ火の始末とか、危険な事については多少強めですけど…。あ、でもそれで恨んだりは絶対にしません!」
桜は自分が疑われる様な要素はひとつでも減らしたい様であった。
「たしかに、椿は僕が危ない事をした時もめちゃくちゃ怒って怖かったな。そういう時の椿は母親より怖い。」
元也も昔の事を思い出したのかしみじみと相槌をうった。
「わかりました。では最後の質問です。」
「…はい。」
ゴクリ…。桜が生唾を飲む音が聞こえた。
「椿さんは普段から白手をしてましたか?」
白手と聞いて桜はしばらく黙った。
それが貴重品などを扱う時に椿さんが嵌めているものだと気が付くまで数秒かかった。
「い、いえ。」
「わかりました…。ありがとうございます。」
少女がお辞儀をしたので桜も慌ててお辞儀をした。
最初のコメントを投稿しよう!