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「まぁ、いいだろう。なんで気持ちは20代かっていうのはほら、そこの桜が居るでしょ?半年くらい前に雇ったんたが。」
「はい。」
「その桜と対抗しているような話を聴いたんでね。」
「対抗?敵対心がある?」
「いや、そこまではわからないけど、化粧品はどこどこのがいいとか、美味しいスィーツの店を見つけたとか、まぁ、男にとってみればどうでも良いような話を喜んでしてるからさ。」
「なるほど、まぁ、でも普通じゃないですかね?女性ですし。」
「いや、それだけじゃなくて、このまえなんかインスタばえがどうとかインスタグラムがどうとか言い出したんだ。」
「それは、結構…若い趣味ですね。」
「私は訳が分からないからどこかの国から入ってきた新種のハエかとおもったんだよ。それでその重さの事をインスタグラムというのかとね。そしたら椿のやつ、爆笑してたよ。」
「あぁ、なるほど、それは面白い。」
私はピクリとも表情筋を動かさずにそう言った。
そんな話をしていると痺れを切らしたのか館の主が顔を出した。
「何事だこれは?」
鷲尾元斎の顔を見て青くなったのは元也だった。
「お父さん!金塊が!」
元成は思い出した様に叫んだ。
元斎は元也をチラと一瞥すると倒れているメイドの側に来て蹲った。
「……椿。まさか…。」
「息はあります。いま、救急車を手配しました。」
私はそれだけ言うと倒れているメイドから少し距離を取った。
そうさせる雰囲気が元斎にはあった。
「……そうか、ありがとう。」
そういうと後はなにも言わず倒れているメイドの顔に手を当てて項垂れていた。
その手は心做しか震えている様にみえた。
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