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「なにかの手がかりになるんじゃないか?犯人に繋がるような。」
元也は鼻息を荒くしてそう捲し立てた。
「確かに犯人の手がかりですが…ここから犯人逮捕に繋がるとは考えづらいですね。」
「な、なぜ?」
「これは、犯人が意図的に置いていったものだからです。」
元也はギョッという顔をした。
「犯人が?何のために?」
「それは…たぶん愉快犯だからでしょう?」
「知ってるんですか?」
「まぁ、ネットとかでも話題になっている怪盗QEDです。」
「怪盗?ゾロリのような?」
元也が随分とかわいい怪盗の例をあげた。
「いえ、怪盗というのはネットで言われてるだけで、要は窃盗犯です、しかも解錠の難しい金庫を態と狙って開けた後にQEDと書かれたものを残すという愉快犯です。」
「なるほど、それで…。」
元也が呟いた。
「なにか心当たりでも?」
「これじゃよ。」
代わりに元斎が首からぶら下げているものを見せた。
銀のペンの様に見える。
「なんですかそれ?」
「鍵じゃ…そうは見えんじゃろ?まぁ、最新科学の結晶らしいからのぅ。」
確かに言われなければそれを鍵だとは思わないだろう、何せ鍵特有の特徴であるギザギザも窪みも一切ない、見た感じペンである。
「これを開けたとなると、なかなかの強者と言わざる負えんのぅ…ふぉふぉふぉ。」
そう言って笑う元斎は豪気という他ない。
「笑い事じゃないよ父さん!金塊が!」
「お前の金塊じゃなかろうて、そう、目くじら立てるな。」
そう言ってまた笑う元斎だが筆頭相続人である元也は気が気ではない。
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