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ざこ
昔々、とある海に小魚の群れがひっそりと暮らしていました。群れの中の一匹がこんなことを言い出します。
「ちょ聞いて! 今さぁ、トラフグの野郎に聞いたんだけどぉ。あいつら、自分で毒作ってるわけじゃねぇらしいぜ!」
「マジでぇ!?」
「なんでもハナムシロガイっつう毒貝を食べて、その毒を体内に蓄積させてるんだとよ」
「つーことはさぁ、俺らもその貝食べたら毒魚になれるんじゃねぇの?」
「それナイスアイデア! 毒魚になれれば、俺らもやたらめったら食われなくなるかもな!」
常に外敵の驚異に怯えていた小魚たちはその名案に明るくなりました。
早速、小魚たちはハナムシロガイを食べまくります。
しかし、小魚たちは肝心なことを見落としていたのです。
トラフグは長い年月をかけ、ハナムシロガイの毒に対する抵抗力を身に着けていたということを。
こうして、この小魚の群れは絶滅してしまいましたとさ。
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