でこぼこコンビ

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 八千恵の名誉返上、もとい夕花ちゃんへの恩返しのチャンスは、五時間目のロングホームルームのときにやってきた。 「この時間を利用して、クラス委員を決めたいと思います」  校内行事に関するプリントを配り終えた上野先生が言った。 「まずクラス委員を決めて、その人たちにこのあとの各委員会決めと体育祭の係決めをしてもらうわ。こういったクラスの決めごとは生徒主体で行うのが凛花学園の校風でね」  一年一組に緊張が走る。新学期のメインイベント「クラス委員決め」だ。  こんなとき、お調子者の男子がいればノリと勢いで立候補してくれるものだが、残念ながらここは女子校である。  まだ名前と顔が一致していないこのタイミングで、立候補するなんて度胸のある女子はそうはいない。みんな、周りの動向を探っているのだろう。 「まずはみんなの意見を聞きたいから、立候補か、もしくは推薦したい人がいればその人の名前を言ってちょうだい」  凛花学園のクラス委員は、委員長と副委員長が二名選ばれるのだが、軽い気持ちでやれるものではない。特に、委員長の座はあまりやりたがる人がいない。  というのも。  この凛花学園のクラス委員というのは、中学までのクラス委員とは重みが全然違うのだ。文化祭実行委員に生徒会への参加など面倒事がたくさんあるだけではなく、全校集会や修学旅行、体育祭など、各式典、学校行事において何かと人前に出る機会が多い。点呼や整列はもちろん、集会時にはクラスでの取り組みを発表することもある。  先生がたや上級生に真っ先に顔と名前を覚えられるクラス委員は、日頃の行いや成績などを常に気にする必要がある。  まさに、クラス委員はそのクラスの顔なのである。  と、入学式で教務の先生がわざわざ説明するくらいだから、その重みは新入生にもしっかりと伝わっている。  やる気さえあれば誰にでも務まるものと考えるには、少々難易度が高いのだ。
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