1章……見ないで

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次の日の朝、岳人の姿はリビングに既に無くて、先に行ったらしい痕跡だけがあった。 私はいつも通り始業一時間前に出社すると、先にチームのデスクに高塔くんが座っているのが見えた。その顔にはいつもよりほんの少し赤い目に見える。 (寝不足?) かく言う私も色濃い目の下の隈をメイクで誤魔化してきたけれど。 「おはようございます茅乃さん」 「おはようございます」 朝、心配になり岳人にメッセージを送ったけれど……既読にもならずにもちろん返信もない (私が悪いのかな……) でも、さすがに昨日はあのまま岳人に抱かれるなんて出来なかったと思い直す。そこでそう言えば、と昨夜の電話を思い出した。 「高塔くん、私忘れ物したみたいでごめんね?何だったの?」 鞄の中身を確認したが特に忘れたものが見あたらなかった。 すると高塔くんはその言葉に表情を緩めた。そう言えばその目を見て、今日は眼鏡をしていないななどと思った。 「忘れ物はこっちです……」 「え?」 手招きされて行ったのは給湯室。まだ早いので誰もいない。 「こんな所に?」 「はい」 扉を閉めた瞬間、手首を握られて扉のすぐ横の壁に押し付けられ 「なっ」 「シッ黙って」 頬に唇を当てられた。 「何……」 「忘れ物は……」 そう言うと高塔くんが私の首筋をペロリと舐め上げ耳朶を噛んだ 「んっ…」 「…好きです…昨日のは本気だからって言い忘れたんです…」 スーツの合わせから手を差し入れシャツの上から高塔くんが私の胸をつついた 昨日、半端に欲望を掻き立てられた敏感な身体はそれだけでビクンと跳ねた 「……んっ」 「可愛いな茅乃さん…必ずオレのものにしてみせる…」 そう言うと高塔くんが私の髪に指を絡ませてからキスをしてきた 「んふ…ぁ…」 舌を差し入れ、気儘に軽く掻き回すと…すぐに唇を指で拭って離れた 「確かに、渡しましたよ?」 「…え、あ…」 高塔くんが先に給湯室からマグを持って出ていく 急いでマグを洗うふりをして水に触れて…火照る身体を冷ました
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