1章……見ないで

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確か25歳…34歳の私からしたら可愛い男の子だ 運ばれてきたジョッキを次々と煽ると高塔くんも同じようにビールジョッキを何度も口に運んだ 程よく酔いが身体に回る頃 それまでは他愛もない話をわざとしていた私から切り出した 「高塔くんは幾つだったかしら…」 「もうすぐ25ですけど…」 「そう…若いわね…」 (眩しいくらいに若いのね…) 「大して変わりませんよ?茅乃さんと」 「変わるわよ…私からしたら貴方は弟みたいなものよ?」 (9歳の差は大きい…) 歳を取ることは楽しみだし、まだまだ人生は楽しめると思う 同年代では見た目も若い方だとも思うけれど…若さというを宝を持つ人を見ればそれはやはり羨ましい テーブルの上に置いた手に高塔くんの手が触れた 「それは何?オレに子どもだって言いたいんですか?」 「違う…客観的事実よ、貴方は私の部下でしょ?…それくらいの差がっ…!」 そこまで話したら高塔くんが身を乗り出して顔を近づけてきた 「歳の差を気にするって事はオレを意識してますか?」 「…私、人妻よ?」 「…確かに…でも」 高塔くんの瞳が私を射ぬく 「それでも欲しいと願うのは罪ですか…」 …アルコールが香る高塔くんの吐息が私の唇に届く (やめて…) 「茅乃さん…好きです…」 「か、からかわないで」 グッと身体を引いて腕から逃れようとした、その刹那 「……んっ」 後頭部を強く引き寄せ唇を押し当てられて動けないうちに唇に舌が這い回り …何度か角度を変えたキス 「や…め…っ」 「やめない…好きだから…」 抉じ開けられた唇はだらしなく開いて 高塔くんの…ビールの味がする舌を受け入れる 「ん…はっ…」 歯列を裏側からなぞられ、舌を絡めて口内をしゃぶるように舌が動き、その間に指が首筋から耳の裏までを上下に撫でていく (な、何…っ上手い…) 岳人もキスが上手いけれど、高塔くんのキスは腰にクる… 快楽の入り口をくすぐられて身体の奥の火を点された… やがて離された唇 「ったく…なんて顔するんですか」 (それはこっちの台詞だわ) 苦悶に満ちた顔をした壮絶な色気を纏った男がそこにいて…私の理性を壊そうとする だから、敢えて言った 「私、岳人を愛してるの…あんな所を見ても…愛してる…」 「いいよ、それでいい…ねぇ茅乃さん…」 「な、に…?」 高塔くんがテーブル越しに抱き締めて掠れた声で囁く 「今晩は抱かれてよ…オレに」
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