忘れてますよ

1/1
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ

忘れてますよ

 町を歩いていたら、前方からとても綺麗な女の人が歩いてきた。  美人なだけじゃなく、背も高くてスタイル抜群。服装もとても素敵だ。  すれ違った後、つい振り返って眺め直した瞬間、私はダッシュでその場を駆け出した。  正面から見た時は、羨ましいくらい細くて長いなぁと思ったその人の足。それが、振り返って見た時には消えていたのだ。  ファッションの具合とかじゃない。間違いなく、女の人には両足がなかった。  そういえばこの道、結構前に人身事故があった踏切に続いてた。そんなことをふと思い出した時、ちょうどその踏切が見えた。  何かの前衛的なオブジェ。そうとしか見えないモノが線路の真ん中に立っている。でも私にはその正体が一目で判った。  さっきの綺麗な、多分幽霊のお姉さん。…足、忘れてますよ。 忘れてますよ…完
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!