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自分は妖だ。そう心に言い聞かせる。
人に恐れられ、妖にすら疎まれる、大妖だ。それでいい。そうでなければならない。
たとえこの世のすべてに恐れられても、今、蛍を救えるのは自分だけだ。
「ココノオの尾が、ココノオ封じを求めるか。妖の身で浅ましい。たとえ辿りついたとしても、求めるものは何ひとつ得られぬぞ」
「構わない」
────ここに、おまえを助けたいと思っている妖がひとりいるのだと、それが蛍に伝われば。
「本望だ」
擬いめ、とココノオが嘲笑う。
ああ、そうだ。けれど名がある。名を呼ぶ人がいる。
踏み込む足が、人の形を失っていく。妖の本性をあらわしながら、七篠は炎を捲く尾を喰い破って突き進む。
「蛍────!」
この想いは、決して擬いものではない。
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