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 言語がこの矢印の中で、埋め尽くされている。 その順番を、自分の「感覚に則って」組み替えていく。まるで、パズルみたいに。出来上がってみなければ、「機能」するかどうかは、分からない。まるで問題もなく機能すれば、それらはなんの曇りもなく、開始から最終まで、光は滞る事のなく収束していくことになる。一定の光の流れを生む。それが力になるのである。  僕はどうやら、それが「出来る人間」であるようだったのだ。 それが喜びに繋がれば、という話であるのだけれど……、僕の場合はどうやら、そうではないらしかった。ほら、みてみてよ。その「機能」したアルゴリズムのパネルを、誇らしげに、まるで自分が解き明かしたかのように自慢して、それを売りつけようと早速商談顔をしているあの「おじさん」の顔を。  僕は、その方を一瞥して、また空を仰ぎ見た。テントの切れ端から見える破片の光は、そしてその先に見えるであろう大きく丸い赤い玉は、僕の目には見えなかった。少なくとも、僕の目には、そのテントの布の切れ端が光源を調節している、不透明な歪な姿だった。  パネルが機能して、僕にはその光の流れの残滓がまだ、目の中に残っている。 僕の目はまだ、その光の流れを追っていた。なんの目的もなく。  砂漠の風が、僕の上にあるテントの布を、バタバタと揺らしていた。
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