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神林愛との出会いは、三歳の時の母親の再婚だ。
「こんにちは、愛です」
母の後ろに隠れていた私に、優しい笑顔で自己紹介をしてくれたメグ。
「愛は純ちゃんより二つ上だよ」
父になる人が笑顔で教えてくれた。
「純と愛だなんて、初めから兄妹になる運命だったのかしら」
母も笑顔で嬉しそうに言った。
私に突然父と兄が出来た日、私は神林純になった。
私は恋すら分からない時から彼が好きだったのは覚えている。
今思い起こしてみると、出会って一瞬でメグに恋に落ちたのだと思う。
メグは小さな頃、メグムと呼べなかった私が付けた彼の愛称。
メグ以外の男性に心を奪われたことは一度も無い。
一緒に住んでいて、家に帰ればいつも貴方の傍に居られて、最初は幸せだった。
「純ちゃんはそろそろ好きな男の子とか出来ちゃうのかな」
義父がおどけて出した言葉に八歳だった私は、
「メグ」
と無邪気に返した。
メグは照れていた。
義父さんはおかしそうに笑っていた。
でもお母さんだけは笑っていなかった。
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