とろけるギフト かたまる決意

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とろけるギフト かたまる決意

バレンタインは、お家デートがしたいとリクエストした。 いつでも私の希望を聞いてくれる彼は、世界的なホテルチェーンのプリンス。彼は気にするなって言うけど、日本支社副社長を彼が務めるホテルに泊まるのも、他社のホテルに泊まるのも気恥しい。彼は、有名人だから、私なんかと泊まってどんなふうに思われるのか、心配なのだ。 彼の部屋で会うことが多い私たちだけれど、バレンタインは私の部屋に来てもらうことにした。出来たてのフォンダンショコラを彼に食べてもらいたかったから。 かなり貧乏な家の出の私は、お菓子作りなんて大の苦手。お菓子なんて贅沢品だし、作るより買った方が安いと思ってた。 それでも手作りにチャレンジしたのは、グルメの彼にどんなチョコを贈ったら良いか困りきって訊ねた彼の妹に、薦められたからだ。下手なものを贈るなら、手作りで失敗した方がマシという言葉を真に受けてみることにした。 妹さんは、親切にも実家のパティシエールを指導員につけてくれた。 優秀な先生による猛特訓のかいあって、自宅のオーブンで、何とか失敗なく焼けるようになった当日の朝、彼から電話があった。     
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