とろけるギフト かたまる決意

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「今日のデートだけど、僕の家に来てくれないかな。仕事の都合で、君の家に行くのは、ちょっと難しそうなんだ」 「え……っ!」 オーブンから出したてのフォンダンショコラを食べてほしかったのに! 「じゃあ、早めにそちらに行っていてもいい?」 彼の部屋のオーブンで焼いたことはないけれど、それしかないだろう。合鍵はもらっている。 「ごめん。今日は人が入るから、約束の時間に来てほしいな」 「人?」 「ああ、少し部屋を綺麗にしておこうと思ってね」 綺麗好きの彼は、定期的に部屋に清掃業者を入れている。普段は在宅中にやってくれるけど、断るということは、大々的なクリーニングなのかもしれない。立ち会いは、実家で働いている人たちがするのだろう。彼の実家には、専属のシェフを始めとした多くの人たちが働いて、一家の公私を支えている。 仕事で忙しい彼に文句も言えず、受け入れるしかなかった。 どうしよう……! 困り果てた私に、追い討ちが来た。師匠であるパティシエールに、途中まで見ててもらおうと思ったのに、急に来られなくなったと電話があったのだ。 それは仕方ないとして、相談させてもらう。 「出来たてじゃなくても美味しいお菓子を教えてもらえませんか?」     
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