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列に並んでる三人の客と、手に持ってる商品をパッと見て、鮎川さんが小さな声で言った。
「フォローするから、焦らずやってみ?」
「は、はい」
さっきの、俺がやったんじゃないのにな~。俺がヘタくそと思われてるのかなぁ。なんて思いつつ、慎重に袋に品物を入れる。
「1000円でよろしいですか?」
「418円のおつりです。お確かめ下さい」
「ありがとうございます。またお越し下さいませー」
夕方、どんどん混雑する店内。自動ドアが開く度に鮎川さんが大きな声で挨拶する。
「いらっしゃいませー! こんばんはー!」
そして俺がバーコードを通した品物を手際よく袋に詰めていく。しばらくそんな状況が続いた。ふと客が途切れてホッとした途端に、自動ドアが開く。
うわ、また来た!
「宮野君、休憩しておいでよ。疲れたでしょ?」
「あ、はい」
鮎川さんは俺にニコッと微笑みながら、大きな声で言った。
「いらっしゃいませー! こんばんはー!」
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