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大学終わってからの暇な時間を利用して、夜六時から深夜十二時までが俺のシフト。鮎川さんは夜六時から早朝六時までのシフト。だから休憩時間中に、同じ大学だって聞いてびっくりした。
「え、一個上っすか? 見えねぇ……」
「ミヤちゃんこそ、中学生みたいだね?」
ムッ。人が気にしてることを……好きで童顔に生まれたわけじゃないし! って、馴れ馴れしいんだよ。なんだよ、ミヤちゃんて!
「……鮎川さんはいつからここで?」
「去年の今頃かな? 丁度ミヤちゃんと一緒。大学生活も慣れてきて、バイトしなきゃって。あんまりうち裕福じゃねーから」
「ふーん」
俺は生活の為ってわけじゃないからな……やっぱ生活かかってる人はスゲェな。
考えてると、鮎川さんが思い出したように言った。
「あ、さっきの食パンの件だけど」
「あーあれは、俺じゃ」
「うんうん。分かってるよ。舞子ちゃんでしょ?」
「へ? う、うん」
レジを打ってる俺の横で、品物を袋に詰めてたのは、俺より前からここで働いてる高校生の女の子だ。半年くらい前から働いてるらしいからテキパキと手は早いんだけど、いかんせん、なんか大雑把っていうか。バイト三日目の俺から見ても分かるくらい仕事が雑だ。
「あの子ねー……。ふー。実際ちょっと持て余してるんだよ。可愛いしね? 明るいし。お客受けもいいんだけど……なんてゆーか、その……」
「雑?」
茶髪のサラサラヘアをガシガシ掻いてた鮎川さんが、パッと俺を見て「うんうん!」と大きく頷いた。
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