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「そうそう! 雑なんだよ! それがねー、わざとじゃないんだけどねー。注意すると不貞腐れちゃうし……」
「ああ、分かります。女子って、注意するとムッとするか逆ギレしますよね。よく分かります」
うちは女系家族で母親と姉三人が家を支配してたから、女の人のめんどくさい所は身に染みてるし、とても理解できる。あの人たちに理屈は通用しないんだよね。かと思えば立て板に水の如く正論をまくし立てるし……。
「だよねー! だよねー! もーそれが嫌でさ! なんにも言いたくないんだよねー! 良かった~。ミヤちゃんがバイト来てくれて!」
まるでオーナーみたいな口調で言うから、ついプッと笑ってしまう。鮎川さんはそんな俺にニコニコして廃棄予定の弁当を箱から二つ持ってきてくれた。
「コンビニバイトの利点は飯代が浮くこと。ミヤちゃんどっちが食べたい?」
「うーん。俺、そんなに腹減ってないし。あっちのパンでいいっすよ?」
「えー? ちゃんと食べないと体力もたないよ?」
「大丈夫です。エコ型なんで」
「エ、エコ? ミヤちゃんて面白いね~」
「そうですか?」
面白いなんて、あんまり言われた事ないけどなー。
不思議に思いながら廃棄処分予定の箱からパンを取り出しかじりつく。
ほんと、まだ食えるっつーのにもったいないよな~。世の中にはご飯を食べられなくてガリガリに痩せてる人もいるっていうのに、日本はこんなんでいいのだろうか。
「食べ方まで可愛いね~」
もそもそ食べてると鮎川さんが変なことを言い出す。
「あゆかあはん……目、おかひくないふか?」
「ふはは。え? なんて?」
「目、おかしいですよ? 眼科行ったら? さっきのおばちゃんにも可愛いって言ってたし」
「あー、あれはホラ。気持ちよく帰ってもらう為だよ。でも、ミヤちゃんは面白いし可愛いと思うなー」
「ふーん」
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