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「ほんと、2組最高だったよね。バラバラになるなんて、考えただけで鬱だわ」 まん丸くて小さなカエデの瞳が歪むと、薄い二重の幅を広げる為に施されたアイプチの跡が姿を現す。それを見つけると、キミドリはいつもなんとなく目をそらしていた。 「5人、みんな一緒のクラスだったらいいのに」 キミドリは地面に交互に投げ出される自分のスニーカーのつま先を見つめながら言った。 「まぁ、無理だろな。ウチらめっちゃうるさかったじゃん? 下手したら全員ばらけさせられる可能性もあるよ」 「まじか。それ一番避けたいパターン」 カエデの調子に合わせて、口ではグループがバラバラになることについて嘆いていても、キミドリの胸の内は躍っていた。 学校に着いて最初に声を掛けられたのがカエデだったことで、もしかしたら一緒のクラスになれるのではないかという予感がしていたのだ。 顔を上げると、校庭の周りを取り囲む満開の桜の木が揺れていた。風が、家を出たときより若干暖かなものに変わっている気がした。 耳に入る生徒たちの嬌声すら心地よく、足取りも軽くなっていくようだった。 校舎に入り、3階にある教室に向かう。 各教室に新しいクラスの名簿が張り出されており、廊下にはそれを見た生徒たちの歓声や悲鳴が響き渡っていた。     
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