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一番端の1組の扉に張り出された名簿に近づき、その文字が大きくなるにつれ、キミドリの緊張感は高まっっていった。
「あーやだやだ、見たくない!」
カエデが顔を伏せ、頭を振りながらキミドリの手を握る。
やはり前髪だけ一切揺れないのを見て、キミドリは少し笑いながらカエデの手を握り返した。
「大丈夫、大丈夫だよ」
何が大丈夫なのか分からなかったが、キミドリはそうカエデに言いながら、自分自身も勇気づけようとしていた。
1組の名簿には、キミドリたちのグループではチカの名前だけが記されていた。
「うわぁ、チカ一人じゃん。かわいそう」
カエデの心底同情したようにぼそっと呟いた。キミドリはそれに頷くのも忘れ、名簿に書かれたチカのフルネームをぼんやりと見つめた。
「まぁ、クラス分かれてもさ、昼休みはみんなでお弁当食べるしね」
キミドリは、グループ内で以前から約束していたことを口に出し、自分も一人になってしまうかもしれない不安を紛らわそうとした。
「そうだね。クラス別々でも、うちらは変わらないよね。うん、うん」
カエデもそう言って、キミドリと同じように自分を励ましているように見えた。
無言になった二人は、俯きながら2組の教室の前に向かった。
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