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今日もキミドリは、アルバイトが終わって家に帰ってきて早々、靴下にじゅわっと水分が染みこむのを感じ、唸りのようなため息を漏らした。
いつもそうだ。
この時間に緑さんが帰ってきていると、台所の床を踏んだキミドリの足の裏は濡れる。
いつも濡れるのならそれに慣れるのが普通のはずだが、キミドリはしっとりと水分を含む靴下にいつまでも慣れることはない。
ただの水なら乾かせばいいだけなのだが、その液体は水ではなく、緑さんが溢した甘いお酒なのだった。
「あー、キミドリ。帰ってたの」
磨りガラスの引き戸の向こう側から声がした。キミドリは答えず、片足立ちになり、足の裏を顔の近くまで持ち上げ顔を歪める。
やはりアルコールの臭いがした。
仕事が終わって帰ってきて、酒を飲むのは構わないが、酔っ払いすぎて床に溢しまくるのだけは本当に勘弁してほしい。
今まで幾度となく行われたキミドリの訴えも、緑さんには全く響かない。
「今日はお土産ないの?」
磨りガラスの向こうで、テレビの光に照らされた緑さんの影が揺れる。酒を飲むとき、緑さんは必ず部屋を薄暗くする。目が悪くなるよと、何度も言っているのに。
「ない」
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