冬夜の学校

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冬夜の学校

   目が覚めた。  どうやら自分は熟睡してしまっていたらしい。教室のうちも外も真っ暗で、月の明かりだけが全てを照らしている。    ――帰らなきゃ。  席を立つと男にしては長めの髪がふわりと揺れた。  この髪もそろそろ切らなきゃいけないな。  線の細い顔と他の男子より一回りは小さな体つきのせいでよく女子と間違えられる。声変わりもまだだ。いつになれば、自分は男の体になれるのだろう。  溜め息をつきながら廊下に出て―――息を飲んだ。    夜の学校は怖い。  そんなこと、学生なら誰でも知っているだろう。暗くて、怪しくて、どこか寂しくて。廊下の奧は見えず、ナニかが迫ってきても気づけない。  怖い。  無意識に壁に寄り添い、意識を手放して良い範囲を作る。  夜の学校は普段(いつも)以上に古びて見えた。    ごくり、と喉を鳴らして覚悟を決めた。いや、覚悟も何もこんなところで一晩過ごすわけにはいかない。早く帰らなければ。    壁に沿って廊下を進み、1階に下りる階段までたどり着く。  踊り場。  怪談として語られる話でよく耳にする言葉の一つだ。何故か恐怖心を煽られる言葉。  ふと、最近読んだ小説の一文を思い出した。       
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