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序章
雨が木々の梢を鳴らす。鬱蒼とした森に囲まれた星海学園の校舎に、冷たい雨が降り注ぐ。
シトシト……また、シトシトと……
その雨音は、まるで悲しい旋律のようだった。
そして、その旋律と共鳴するかのごとく、ピチャピチャと淫靡な水音が鳴り響く。
「……あっ」
第二音楽室の床はひんやりと冷たく、それでいて、じめっとしていた。グランドピアノの陰に身を隠すようにして、二人の少年が互いの肌を濡らし合う。
「ああっ……太地、もぅ、だめっ……、出ちゃう!出ちゃうよぉ!」
少年は、自分の股の間にある級友のサラサラとした真っ直ぐな髪をぎゅっと掴んだ。
その美しいボーイソプラノの声に応えるかのように、より一層水音が淫らに、激しくなる。
やがて、少年は一際高い声で喘ぐと、ビクビクと体を痙攣させた。
顔を上げた彼の友人は、妖艶な微笑みを浮かべ、コクリと細い喉を鳴らす。
「悠ちゃんの、美味しい」
彼もまた、美しく澄んだソプラノの声をしていた。
その唇は真っ赤に濡れ、口端から白濁の液が滴り落ちる。
「今度は太地の番だよ」
熱い吐息の混じった声でそう言うと、少年は先程まで自分の身体の一部を貪っていた、彼より少し小柄な少年の股間に顔を埋めた。
シトシトと降り注ぐ雨音が、静寂の空間に響き渡る。
甘く、澄んだ喘ぎ声が、大地を濡らす雨音と相まって、切ないハーモニーを奏でていた。
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