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「あと、こうやって、腰を使って…」
「きゃはっ!あっ…先生!くすぐったいっ…!」
北村先生の手が腰に触れると、翔太はくすぐったさのあまり、身をよじって笑い転げた。
先生は、一瞬びっくりして、パッと翔太から手を離すが、すぐに気を取り直し、
「こらっ!真面目にやれ!」
と言って、再びフォームを正そうと、後ろから抱き抱えるように両腕を掴む。だが、翔太は変なスイッチが入ってしまい、ちょっと触られただけで、くすぐったくてたまらない。
「あはっ!す、すみませ…きゃははっ!」
ただでさえ、体育の成績が悪いのに、これ以上先生を怒らせたら、大変だ。翔太は必死で笑いを堪え、何とか先生に言われた通りのフォームを作った。
「そうだ、その姿勢のまま、思いっ切り投げろ!」
「はいっ!」
翔太は元気良く返事をする。
腰を捻って、手首のスナップをきかせて、渾身の力を込めて投げた。
ところが、ボールはあらぬ方向に飛んで行き、北村先生の顔面を直撃しそうになる。
「わぁっ?!」
先生は慌ててそれを避けた。
「わ!ごめんなさい!」
翔太は謝ったが、北村先生は諦め切った表情で、こう言い放った。
「もういい!お前は補習授業だ!これから一週間、毎日放課後練習しろ!」
「えーっ!」
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