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「それから、直矢!翔太一人じゃ無理だから、お前も練習付き合ってやれ!」
「えーっ!なんで俺が?!」
「お前のハンドボールの成績、平均以上の出来栄えだし、お前ら、ルームメイトで仲良いだろ?」
そう言って、先生はニカッと笑う。
直矢は何をやっても平均以上に良く出来るのだ。本人は、突出して得意なものが何もないと、思い悩んでいるようだが、翔太にとっては、羨ましい事この上ない。
「しょうがないなぁー」
「ごめんね、直矢」
「いいって!いつもの事だろ?」
こうして翔太と直矢は、放課後練習することになった。勉強だけは、何とか付いて行けていたのだが、これが、翔太にとって、最初の補習授業になるのだった。
放課後、翔太は直矢と一緒にハンドボールの特訓をした。だが、何度やっても、一向に成果は上がらず、記録は9メートルのままだった。
「はぁー、どうしたら飛ぶんだろう?直矢、付き合わせちゃって、ごめんね」
「いいって。こんなにボール投げるの下手な人、初めて見たから面白いし」
「何それ、ひどいー!」
翔太は頬を膨らませる。
「やっぱり、力の入れ方が悪いんじゃないの?もっと全身を使って力一杯投げてみたら?」
そう言われ、翔太はボールを持って、構えてみた。
「こんな感じ?」
「うん、後は、もうちょっと腕をこうして、腰をこうやって捻って…」
「ひゃっ…!きゃはははっ!くすぐったいって!」
直矢が腰を掴んだ途端、翔太は身体をくねらせ、笑い声を上げる。
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