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「すみません!ボールを投げたのは僕です!ハンドボールの練習してたら、変な方向に飛んでしまって…本当にごめんなさい!」
「ボールが変な方向に飛んでいったのは、俺のせいなんです!すみませんでした!」
翔太と直矢は、必死に頭を下げて謝った。
「ボールが変な方向に飛んで行っただと?それはおまえらの根性が、たるんでるからだ!来いっ!俺が根性たたき直してやる!」
先輩が、のしりのしりと近づいて来る。
「わーっ!ごめんなさーいっ!」
翔太と直矢は恐れをなして、逃げ出した。
「あっ!こらっ!待て!」
先輩が呼び止める声が聞こえたが、二人は構わず、走り続けた。
「はぁはぁ…、ここまで来れば、もう大丈夫だな」
「でも、ここどこだろう?」
「さぁ…。翔太、わかるか?」
そこには、翔太の見覚えのない景色が広がっていた。つい逃げるのに夢中になって、大分遠くまで来てしまったようだ。学園の敷地は広く、隣接する森と繋がっている。辺りは鬱蒼と木々が生い茂り、不気味な鳥の鳴き声が響き渡る。日は沈みかけ、もう夜の入り口に差し掛かる頃だった。
「僕もわかんない。もしかして、僕達、迷子になっちゃった?!」
「残念ながら、そうみたいだな」
どうやら、森に迷い込んでしまったようだ。
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