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「どうしよう…なんか怖いよ…」
漠然とした不安感が翔太を襲う。
直矢が翔太の手をぎゅっと握った。
「大丈夫、大丈夫だよ」
そう言う直矢の目にも不安の色が浮かんでいる。
二人が途方に暮れていると、何やら人の話し声が聞こえてきた。
「や…先輩っ!ダメですよ!こんな所で…っ」
「いいだろ?どうせこんな所、誰も来やしないさ」
翔太と直矢が声のする方を見ると、四年生の先輩が二年生の先輩を地面に押し倒している所だった。
話しかけてはいけない雰囲気が漂っていたが、他に選択肢はない。
「あの…、すみません」
「わぁっ?!」
翔太が話しかけると、二人は飛び上がって驚いた。
「僕達、道に迷ってしまったんですけど、寮に帰るにはどう行ったらいいか、わかりますか?」
「りょ、寮なら、この道を真っ直ぐ行って、右に曲がったら直ぐだよ」
四年生の方が教えてくれた。
「どうも、ありがとうございました!」
翔太と直矢は、先輩にお礼を言って、寮への道を急いだ。
「あの先輩達、こんな時間にあんなところで何してたんだろう?」
翔太は疑問に思って直矢にきいた。
だが、直矢は頬を赤らめ、「さぁ…」 と答えるだけだった。
直矢と翔太が寮に着いた頃には、もうすっかり夜が更けてしまっていた。
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