第8話 テスト勉強

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「先輩、あの…あれって行き過ぎた指導ってやつでは…」 翔太は先生に聞こえないよう小声で言った。 「まぁな、でも、あれのお陰でこの学校には髪を染める生徒は一人もいない。やっぱり制服には自然な髮が一番だな」 先輩にとっては見慣れている光景らしく、特段気に留める様子もない。ただ黙々と翔太のネクタイと戦っている。 そうしている間に、加藤先生は、光希のパンツのゴムを引っ張り中を覗き込むと、ニヤニヤしながらしばらく眺めていた。そしてやがて、満足げな顔をして、 「もういいよ。行きなさい」 と言って、光希を解放した。光希はズボンを直すと、何ごともなかったかのように、 「お先にねー、翔太」 と翔太に手を振って行ってしまった。 「可愛いんだけど、素直過ぎてつまんないなぁ」 加藤先生が呟いているのが聞こえたような気がするが、気のせいだろうか。 ちょうどその時、 「(こう)ちゃーん!何やってるの?」 と元気な声が聞こえてきた。見るとそこには、中川浩志郎先輩のルームメイト、七瀬爽介先輩がいた。 「おはようございます!七瀬先輩」 翔太が挨拶する。 「おはよう!翔太」 七瀬先輩がにっこりと微笑むと、周りの空気が浄化され、爽やかになっていく。さすが、全校生徒の人気者だ。中川先輩と同じ六年生だが、童顔の為か実年齢より幼く見える。
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