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翔太は中川先輩と二人きりになる。
「翔太、もうこのまま教室に行こう。ホームルームが始まってしまう」
「えー?!嫌ですっ!だってこんなの恥ずかしい…」
「俺が教室まで付いて行ってやるから、ほら行くぞ」
先輩はそう言って先にすたすたと行ってしまう。仕方がないので、翔太もその後を追った。
中川浩志郎先輩の後ろに隠れるように、翔太が一年三組の教室に入ると、どっと笑いが沸き起こった。翔太は恥ずかしさの余り、下を向く。折しも担任の北村康弘先生が出席を取っている所だった。
「浩、どうしたんだ?翔太…その頭…」
そこまで言うと、先生はプルプルと震え出した。明らかに笑いを堪えているのが見てわかる。
「すみません。俺のせいで翔太がこんな事になってしまい、ホームルームに遅れてしまいました」
「ど、どうしてこんなことに…」
先生は堪え切れずに、ヒーヒー言いながら、その場に笑い崩れた。
「うわぁーん!直矢ー!」
翔太は泣きながら、直矢の席に駆け寄った。直矢も立ち上がり、翔太の元へ行く。
「翔太…俺がいない間に一体何が?!」
直矢は笑うのを通り越して青ざめていた。
「中川先輩が解いてくれようとしたんだけど、どんどん悪化しちゃって…」
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