175人が本棚に入れています
本棚に追加
次の六時間目は理科の授業だ。実は翔太は理科のテストだけは自信があった。なぜなら、テスト前の一週間、毎日直矢と一緒に蓮先輩に勉強を教えてもらっていたからだ。
理科の鳴島先生が教室に入ってきて、出席を取り終えると、いよいよテストが返却される。順番に名前を呼ばれ、翔太も答案を受け取った。だが、それは思っていたような点数ではなかった。自信のあった問題が、ことごとく間違っている。
(もっと取れると思ったのにな…)
翔太ががっくりと肩を落としていると、テストの正解答が書かれたプリントが、前の席から回ってきた。見比べてみると、答案用紙にバツが付けられた、その自信のあった問題の答えが合っているのだ。その後の先生の解説を聞いても、解き方も間違っていないし、どう見ても合っている。
(これは、採点ミスでは?)
翔太の中で、そんな疑惑が浮上してきた。
「直矢ー、テストどうだった?」
授業が終わってから、翔太は直矢にきいてみた。
「うーん、イマイチだったよ。なぁ、この問題、バツになってるけど、合ってるよな?」
直矢は自分の答案用紙と正解答が書かれたプリントを並べて翔太に見せた。85点…それでイマイチなのか…って問題はそこではなく、直矢が指差した問題は、翔太もまた、バツがついているけど合っているのではと疑っている問題と同じだった。
最初のコメントを投稿しよう!