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「あ!それ僕もだ!」
翔太は直矢に自分の答案用紙を見せる。その問題は、蓮先輩と三人で猛勉強したもので、天気図の等圧線上の気圧が何hpaか求める問題だ。
「採点ミスかもしれないから、後で先生に聞いてみるか」
「うん、そうしよう」
放課後、一応生物部の顧問である鳴島先生は、第二理科室で簡単に見つかった。
「先生!この問題、どこが間違ってるんですか?」
「正解答と同じじゃないですか!」
翔太と直矢は鳴島先生に、テストの答案を見せる。 すると、先生は二人の答案を一目見てこう言った。
「えーと、これは、数字は合っているのですが、単位が違うのです」
「単位…ですか?」
「そうです。正解は1025hpa。君たちのは、1025octpa」
「げっ!本当だ!」
「全然気付かなかった….」
見ると、二人ともhpaと書くべきところが全て、octpaになっていた。
「もしかして、蓮に教えてもらいましたか?あの子は何度hpaだと教えても、絶対octpaと間違えるんです。思い込みが激しくて困ったものです」
「蓮先輩…ずっとoctpaて言ってたから、僕てっきりそれが正しいと思ってた」
「俺も…」
「先生、あの…これ、おまけでマルにしてもらえないですか?」
翔太がきいた。
「ダメですよ。単位は大事ですよ。単位が違うと全く意味が違ってきてしまいますからね。これだと、まるでタコじゃないですか!」
「はい、タコです…」
「すごく、タコです…」
翔太と直矢は諦めた。そして二度と蓮先輩に勉強を教えてもらうのはやめようと思った。
第8話 終わり
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