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「あ…」
カレンダーを見て、思わず声が出る。今日はバレンタインか。非リアには辛い日。非リアの俺には関係ないと職場に向かう。職場って言っても駅のレストランのアルバイトだけど。
「おはようございます」
少しだるそうな声が出る。朝っぱらからアルバイトは流石にきつい。
「あ、おはよ。ほれ、これあげるよ」
「え?駒木チーフどうしたんすか?いきなり…」
「どうしたって…今日バレンタインだろ?職場の部下に配ってんの」
「あ、ありがとうございます」
まさか彼女いない歴=年齢の俺が家族以外の人からチョコを貰える日が来るなんて!?とんだ奇跡がおきたもんだ。まぁ義理チョコなんだろうけど。それでも嬉しいもんは嬉しい。
今日は仕事にやる気が湧いてきた。
そして今は昼休み。いくら学校休みだからって丸1日働かされるのか、俺。
「あ、あの…」
「え?あ、はい!」
声をかけてきたのは後輩の箱田ちゃん。
「その…私、ショコラティエ目指してまして…い、いつものお礼ってことで!これ…どうぞ!」
渡されたのは白い箱。あれ?これってもしかしてチョコケーキ!?
「え?こ、こんなの俺が貰っていいの?」
「は、はい!練習で作ったようなものなので…美味しくなかったらごめんなさい!捨ててもらっても構わないです!……シフトがあるので失礼しますっ!」
「あ、ちょっと待っ。ありがとう!」
ありがとうの言葉が聞こえてたか分からないけど、ホワイトデーにきちんとお返しすればいいか。なんだか今日はついてるな。バレンタイン好きになれそう。俺はそんなフラグを平然とたてたことに気づかず、皿洗いで皿を割るという初歩的なミスを犯したのでした。
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