いち

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「えっ? 退屈?」 「うん。毎日を退屈に過ごしてる」 「えっ? でも、家事とか仕事とか……、彼氏とか旦那さんとかいるんでしょ?」 「それはそうなんだけど、ほとんど家にはいないし、一人だと家事も知れているしね」 えっと……、誰がいて、なんで一人なんだ? よくわからない説明に「そうなんですか」とだけ答え、残っていたご飯をかき込んだ。 「蓮は? きっと忙しいんだよね毎日。彼女もいそうだし」 「そうですね。実習期間はホントに忙しくて、それ以外でも進級試験も毎年あるし。だから彼女とか作っている余裕も全然なくて……」 「そっか。代わってあげられたらいいんだけど、って、代わりたくないけどね、私、勉強苦手だから。でも頑張っている君はカッコイイよ」と微笑んで言うさとみさんに促され、最後に残っていたビールでもう一度乾杯をした。
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