いち

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それから僕は毎日事あるごとに公園の前を通り過ぎた。 今日こそ来ているのではないかとドキドキしながら歩いて行って、横目で公園の中を観察し、今日も来ていないと落胆しつつ、もしかすると今向かっているのではないかと、通り過ぎた後も、公園の入り口が見えなくなるまで何度も振り返った。 一週間が過ぎ二週間も経つと、もしかして避けられているのではないかという思いが浮かんできた。 あの日、僕が何か不適切な行動をしたのではないだろうか、何か気持ち悪いことを言ったのではないだろうか。 ただ単にお腹が空いていて、ご飯に誘っただけなのに、異性としての好意を感じてしまい、避けられているでは。 それとも、さとみさんの家で何かあったとか……。 連絡先を聞かなかったことを酷く後悔し、きっともう一度会ったところでどうにもならない人なのだと自分を慰めた。
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