230人が本棚に入れています
本棚に追加
そんな毎日のおかげで、病院にいる間は、さとみさんのことを思い出さずにすんだ。
夜も、何かをする暇もなく、何かを思う暇もなく、思い出してもすぐに眠ってしまう毎日で。
だが今日、病院を出た瞬間、緊張から解放されたせいなのか、邪魔者扱いされすぎたせいなのか、さとみさんに会いたい、という気持ちが胸の中からじわじわと湧き出してきて。
今日会えるはずもないのに、友人からの「飲みに行こうぜ」という誘いも断った。
ふらふらと、おばちゃんのやっている定食屋に向かう。
最初のコメントを投稿しよう!