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この少し重い戸がたてるガラガラという低い音を聞くと、ようやく一日が終わった、そんな気持ちになれるのだが、今日は「何も期待するな」そう僕に言い聞かせる自分と、それでももしかして、と思ってしまう自分がいて。
少しゆっくりと戸を開けた。
そこには、テレビをつけたまま目を瞑っているおばちゃんが座っていて、カレーのおいしそうな匂いだけが、漂っていた。
気持ち良さそうにうたた寝をするおばちゃんを起こすのが、少しかわいそうな気がして、いつものカウンターの左端にそっと座った。
どうしたものかと体を捻じると、さとみさんが座っていたテーブルが見えた。
少し前まではただの汚いテーブル席だったのに、あの日から、さとみさんが座っていたところ、に変わっていた。
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