いち

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振り向くとそこには、星空のような青い色をした車がゆっくりと動いていて。 下ろされた窓の下の方に、さとみさんの小さな顔があって。 「おかえりー」と言いながら右手を振って「気を付けて帰るんだよー」と言い残し、そのまま行ってしまおうとしている。 「ちょっ、ちょっと……」 僕は反射的に駆け出して、青い車に追いすがった。 キッという音がして、さとみさんが車を止めた。 「どうしたのよ、危ないじゃない」 「だって……」 「だって、って?」 「だって、そのまま行ってしまいそうだったから……」 「うん、それは……、そうだね。そのつもりだった」 「どうして?」 「えっ?」 あぁ、そうなんだよ……。 さとみさんは決して隠れていたわけでもなく、連絡を絶っていたわけでもなく、おそらく、この公園にわざと来ないようにしていたわけでもない。 ただ単に、普通に毎日を送っていて、たまたま僕と会わなかった、というだけなんだ。 そりゃあ「どうして?」と言われたら「えっ?」ってなるよな……。 「いや……、あの……、連絡先を教えてもらえませんか? あっ、もちろん電話は掛けないようにします。それに頻繁にメッセージを送ったりも絶対にしませんから……」 それを聞いたさとみさんは、僕から目線を外してしまった。
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