それから

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今あらためて考察してみると、さとみさんは反社会性パーソナリティ障害の一種なのかもしれない。 もちろん、恋の病の真っただ中だった僕にはわかるはずもなく。 今もさとみさんと別れていないところをみると、きっと准教授も気付いていない。 もしかすると、 さとみさんのように反社会的な考え方や行動を取っていても表面化せず社会の中に潜んでいる人は意外と多いのかもしれない。 それを見抜く目を最も曇らせるのが恋の病。 それは恐ろしく強力で、とてもやっかいなもので。 でも僕達三人が、さとみさんに(わずら)わされた悪性の恋の病は、全部あすみが治してくれたのだ。 だが准教授は、懸命な介護を受けて、リハビリの時に精神的な支えにもなってもらって、おそらくまた、患ってしまったのだろう。 あすみと二人、席に並んで、最近痩せてきた准教授を見ていると、恐ろしくなる。
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