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怒りに目が眩み、全ての音が遠くなる。
新幹線でトンネルを通過した時の様な、、
物凄い空腹の時の様な、、
寒気すら覚える怒りが這い上がる中。不意に「ふぐっ!」と呻き声が聞こえた。
川島。小松。
「何がむじなですか!?」
イッたロンパりの眼球を光らせながら小松が後ろから川島を刺していた。そのままナイフをグルリと回して抉る。
「川島さん。もしかして、むじなはパワーアップしてナイフがむじなになったんじゃないですか?」
イッた目を光らせ、笑いながら刺している小松。
ついに借金で頭がおかしくなったか。
「良いぞ、ホモ野郎!!教えた様に刺すだけじゃなくて、ちゃんと抉れたじゃないか!」
予想外の小松の働きに狂喜乱舞する江原。
「僕はホモじゃ有りません。ゲイです!」
激しい怒りに、視界はセピア色の様に赤を基調にしたモノクロに歪んでいる。
パッと光る真島の銃口。
川島が蹲り丸くなる。
胸に激しく熱い衝撃。
怒りに視界が歪み銃声も耳に入らなかった。
撃たれた。
真島に飛びかかっていた。
余りの怒りに、人間から猿に退化してしまったのだろうか。
引っ掻き、噛み付く原始的な攻撃を繰り出す自分を後ろから客観的に眺めている様な視界になり、闘争本能に頭が支配された。
急に暗い部屋に明かりが点いたかの様に視界が明るく開けた。
正気に戻っただけだった。
自分の口の中にボディピアスが入っていた。ペッと唾の様に吐き出す。
真島の両耳と鼻を食い千切り、目をくり貫き、爪でつむじの手前の頭皮から鼻までの皮膚を剥がしていた。
熊に襲われた様に首から上の原型を留めずズタズタになって痙攣する真島。
気付かなかったが、この取っ組み合いの最中に、更に腹を撃たれていた。
胸と腹からベタベタドロドロと出血をし、ダメージに震える膝を奮い立たせ立ち上がりJPSに火を付けた。
「我妻さん、糞は食えません。」
脇腹に広がる熱い痛み。
「もう良いよ。」
「なら、今すぐ一括で払え。」
そう告げると視界は暗くなっていった。
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