失言

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 驚いた悠祐の視線を横顔に感じたが、美空は空を見上げ続けた。 「浅井先輩、たくさんの人に、囲まれてて……輝いてて……うらやましかった、です……」 「そう……」 「はい……」  それきり言葉が続かない。言いたいことがまとまらないのだ。  そもそも美空はなにを言いたいのかもよく分かっていなかった。ただ、なにかを伝えなければという強い衝動があった。 「だから、その……」  美空は無理やり言いつなごうとする。 「浅井先輩が……野球で、得たものは……そんな、簡単に、失くすものじゃない……です……。だから、そんな、あっさり……諦めないで……ください……」  勝利が決まったあの瞬間、チームは強い絆で結ばれていたはずだ。分かち合うものがあったはずだ。それが、たった半年の間に失われてしまうとは思えない。悠祐がもっと足掻けば、状況はきっと変わる。  だけど、美空の想いは、届かなかった。 「ごめん」  冷たい響きをもった一言が、二人の間のなにかを決定的に断ち切った。     
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