新しい朝

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「だから! そういうのが勘違いさせるんだって!」  美空は悠祐の言っている意味がさっぱりわからなかった。美空の心の中はもうずっと前から、悠祐でいっぱいだというのに。  悠祐はさらにもごもごなにかを言い募る。「特別っていってもそういう特別じゃないんだよ」なんて、美空の「特別」が悠祐の「特別」とどう違うというのだろう。  美空は言葉で聞こうとして、やめた。頼りない美空の言葉では、きっと伝わらない。それに美空はもう、想いを伝えるのは言葉だけではないと知っている。  美空は悠祐に、一歩、二歩と近づいた。美空から目を離していた悠祐が気づいたときにはすでに目の前にいて、美空は無邪気に微笑んだ。  そのまま、悠祐に顔を寄せる。唇の先が、悠祐の熱い頬にふわりと舞い降りた。 「な、な、な……」  美空が離れると、悠祐は火傷でもしたように触れられたところを押さえて固まった。 「こういう、特別、じゃ……なかった……?」  不安になった美空は、悠祐を上目遣いで見上げる。  悠祐はギクシャクとした動きで腕を持ち上げると、両手で顔をおおった。 「――いや……あってる……けど……」 「けど?」 「なんか……むかつく……」  美空はまた首を傾げた。  悠祐が一体なににいらだっているのか、さっぱり分からなかったのだ。  想いが通じ合ったと思ったけれど、やっぱり悠祐は、美空にとって難解だった。
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