愛の日には、苦い薬を……

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「……まあ妹がまだ捕まっているらしいしな」  なんだかんだと言って、結局暁月は慈英に甘い。 「せや。なんか色々とむしゃくしゃしてるし、妹を助けに行くついでに、あんな天然だらけの小雪たちを騙す、こざかしい人間たちをちょっと懲らしめてくるわ」  慈英のセリフに、暁月は小さく苦笑を浮かべた。 「せやな。私もお館様に連絡して、その土地の件は権利書関係含めて、現世の理に合わせて整えて貰うように手配してもらうわ」  その言葉に頷いて。ふわり、と慈英は宙に浮かぶ。 「あ、さっきの形代一人貸して。途中で雪女一人捕まえて、場所とか色々聞きたいから」  そう言うと、さっきの形代が慈英の背中にぴたりと着く。 「振り落とされへんようにしぃや」  暁月の言葉に、形代は慈英の顔をしたまま頷く。 「じゃ、また」  そのまま一瞬で慈英の姿は雪の中に消えていく。 「……まったく……」  そうぼやきながらも、暁月は形代を数枚だして、再び形代たちにお願いをする。 「これからお館様のところに向かうんやけど、先ぶれしておいてもらわれへんやろか」  その言葉に形代たちはいっせいに頷いて、それ達はそのまま白い雪の中に姿を消して行った。
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