愛の日には、苦い薬を……

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「お前は誰だっ」  慌てて広い玄関に向かって飛び込んでくるのは、どうやらやくざっぽい男たちで。いきなり拳銃を出してくるあたり、相当質が悪そうっていうか……。 「ねえ雪女達騙して、臓器売ってお金儲けようなんてアイディア、誰が思いついたの?」  いきなりそう尋ねると、 「めんどくさい男だ。何処でもここらなら埋め放題だからよ。さっさと始末しちまえ」  拳銃を握る男たちの後ろから出てきた、わかりやすくガウンなんか羽織っちゃったりしている悪役っぽい壮年の男がそう声を掛ける。 「わかった……」  俺の前に出てきた二人は構えていた銃を持ち上げると、ゆっくりと俺に向けて構えた。 「打ってもいいけど、多分無駄になると思うなあ」  せっかく教えてあげたのに、一歩足を踏み出した俺に、二人は躊躇することなく引き金を引いた。  パツパツと小石をぶつけられたような感覚があって、次の瞬間、俺はその二人の目の前に立っている。 「だから、無駄だよって言ったのに」  一人ずつの顔を軽い怒気を混ぜて睨むと、それだけであっさりと男たちは気を失っていく。 「お、お前ら出て来いっ」  ガウンの男が慌てて声を掛けると、奥の部屋から、後数人の男がパラパラと出てくるけど。 「面倒だから向こう行ってくれる? 俺その人と話したいんだよね」  全部殺しちゃってもいいけど、埋めるのも面倒だから、適当に力を調整して、しばらく眠ってくれる程度にその場で手を払うと、出てきた男たちはその場で吹っ飛ぶ。 「ね? 色々俺聞きたいんだけど、親切丁寧に教えてくれるかな?」  にっこり笑ってても、やっぱり抑え込めなくて、怒気が零れるんだよね。だって俺失恋した直後だし。こいつが余計な事しなかったら、ああいう形で小雪ちゃんと出会わなかったかもしれないし? もっといい形で出会えたかもしれなかったのに!!  そんな気持ちで慈英がじっと男を覗き込むと、あっさり意識を落とそうとするから、軽く、本当に軽くお腹を撫でてあげる。
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