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「うぐっ……」
「ねえ、雪女の女の子、捕まえているよね? その子、返して欲しいだけなんだけどなあ~」
もだえ苦しむ男にそう尋ねると、俺の言葉に根性のない男はガクガクと顔を縦に振る。
「うわっ……キタネエなあ。漏らすなよ」
恐怖に堪えきれずに、床に水たまりを作る男の首をひょいと持ち上げて、そのまま奥の部屋に引っ張っていく。
「ねえ、どこ? さっさと連れて行かないと、その汚い首をポキって折っちゃうけど? 埋めるのもここら辺なら簡単なんでしょ? 面倒だから埋めないけどさ」
くすくすと尋ねると、男は震えながら、奥の床を指さす。
「開けて──って頼んでも動けなさそうだな。マジ役に立たねえなあ。オッサン」
仕方ないので、床にある戸の様な物を妖力で開けると、
そのままオッサンを突き落とす。ガラガラガシャンとオッサンがどこかにぶつかった音がする。俺は肩を竦めて、地下室に向かって声を掛けた。
「小雪ちゃんの妹ちゃん、そこにいる?」
その言葉に、小さな女の子の声が聞こえた気がした。
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