56人が本棚に入れています
本棚に追加
その後、慈英は小雪の妹の美雪を解放し、雪女達の里に連絡を取り、男ごと美雪を里に放り込んできた。
当然里の皆全員に、ものすごく感謝されたけど、男にだけは感謝してもらえなかった。まあ当然だけど。
ここからは土地の問題他が解決するまでは、男を里から逃さず、死なない程度にギリギリ限界で冷やし続ける事で制裁する、ということで、里の長と話がついた。
「でもさあ、あんまり騙されやすいのも問題だよ。まあ明日にでもお館様の使いが来て、細かい書類とかの段取りはしてくれるらしいからさ、それまで色々よろしく」
「……本当に。何から何まで。なんてお礼を言っていいのやら……」
雪女の長の雪子は、やっぱり小雪に似ていて。それでいて大人の女性らしい嫋やかさがある。どうやら小泉八雲の話に出てきた雪女はこの、雪子がモデルになっているらしい。
(綺麗な人だなあ……。小雪ちゃんも成長したらこんな風になるのかあ……)
思わずそんな妄想をして、ああ、俺は振られたんだった、と再認識して、慈英は小さくため息をついたのだった。
最初のコメントを投稿しよう!