2人が本棚に入れています
本棚に追加
/164ページ
馬上槍試合の試合には通常木の槍が用いられる。
戦場で一騎うちをする場合にはもちろん槍は本物を使うのだが競技場で本物の槍を使うと罰せられる。お互い鎧に胸当てをつけ、そこを突いて、手元の槍が割れるか、相手を馬から落とした方が勝ちになる。
だいたい試合はトーナメントで行われ、優勝者には賞金がある。
…………初戦の相手がそもそも悪かったのだ。
ジャックは、はためく旗と、豪華な赤毛を見ながら思った。
パルバティ、パルバティ、と歓声が起こっている。それはそうだろう。馬上槍試合の試合に女戦士が出ること自体がそもそも異例だろう、しかしそれが歴戦の勝者だとなると、熱狂するのも当然だ。
しかし…………。
表彰台の上の赤毛が揺れてパルバティの顔があらわになった。
自然と目が吸い寄せられる。
特徴的な顔だった。
一般的な女戦士(というのもあまり見たことがないが)と比べて美しい部類に入るだろう。半分は、しかしその半面は………。
大きなやけどの跡がある。
(まぁ、戦士ならば珍しくもない)
とジャックは思った。
それが自分の運命の女の顔になるなどこの頃のジャックにはもちろん知る由もなかった。
最初のコメントを投稿しよう!