序章 シサガラ襲撃

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この黄金の髪を持つ少女の名前は、ベル=ヴァルキリー。 16歳になったばかりの、どこにでもいるような生娘だ。 その隣にいる緑髪の青年は、ベルの恋人である、ロン=プロミネンス。 中肉中背の、もうすぐベルの婚約者となる頼もしい22歳の男性である。 小さな国の人々は、若い2人の幸せに早く祝杯をあげてやりたいと願っていた。 国全体が、もうすぐやって来る2人の結婚式に浮き足立っている。 「おーい、ベル!ロン!もうすぐ結婚式だな!当日は、盛大に祝ってやるぞー!」 「ありがとうございますっ」 「ああ、ありがとう」 丘の上でひと休みしている2人に、街の人々は笑顔でそう声を掛ける。 ベルとロンの2人は、この温かな人情溢れる国に産まれたことを、誇りに思っていた。 全てが、ゆるやかに……順風満帆に、時を刻んでいた。 そう、今日までは……。
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