#十二月の朝から始まった

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しかし如何せん、本当に朧気にしか覚えていないのである。途中、弁護士と名乗る人が現れて、やはり刑事たちと同じように当時の状況やボクに関する事実確認をしていく。 ボクは彼らに立ち向かえるだけの気力も意欲も全くなかったと言ってよかった。すでに金物屋で刃物を購入した時点で、自爆自棄になっているのだから、まさに勢いは早く殺してくれと言わんばかりだったのである。 自らの罪の意識と絶望感だけを味わう日々が何日か続いたある日、ふとしたことに気付く。どうやらボクの担当となっている弁護士の先生がやけに馴れ馴れしいことを。そしてその弁護士先生は、ボクの知り合いからボクの弁護を依頼されているらしいことを。そんなことに全く身に覚えのないボクはとても不思議な感じだった。 逮捕されている以上、取り調べが行われるのは当たり前のことだが、どうやらボクの発言からは何かを証明できる、またはボクの犯行を裏付けるための事実を引き出すことができなかったようだ。つまり担当刑事はかなりイライラしていたのである。 しかし取調べが続いて何日かしたある日、突然弁護士の声色が変わった。持って行った刃物の形状やどんな長さだったのかを細かに思い出すように言うのだ。
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