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「でも、ちょっと考えてくれ。もしこの5人全員が生き残ったとしたなら必然的に残っている他の7人を殺す事になる」
「それって殺人になっちゃうって事?」
彩香が慌てて聞いた。
「そんなの終わってから考えればいい」
全員が結衣の言葉に驚いた。
「死にたくなければ殺すしかないでしょ?」
「……そうだよね。今何もしないんじゃ生き残ることも出来ないもんね」
「じゃあまずはこの全員が生き残るって事でいいね?」
全員が結衣の意見に賛同した時、彩香は少し胸騒ぎがした。
「それじゃあ全員カードの数字をおしえて」
全員がカードの数字を伝え、情報を交換した。
「グループ外の誰を指名するの?」
彩香が結衣に聞く。
「正直、誰でもいい。恨みのある人とか、殺したい人とかいないの?」
結衣の問いに全員黙り込んだ。しかし、彩香には重い浮かび上がる顔があった。
「……詩織とかは?」
全員の顔を見回しながら言った。
「詩織に恨みとかでもあるの?」
「いや……なんとなくだけど」
麻結の鋭い質問に彩香は上手くごまかす。しかし、結衣は疑いの目で彩香を見つめていた。
「詩織じゃない人に……してくれないかな」
「……え?」
言ったのは祐介。
「何で? 詩織だとだめなの?」
彩香の口調が強まった。
「いや、詩織とは仲良く話す関係だからさ、まだ死んでほしくないんだ」
彩香は驚きの顔を隠しきれずにいた。彩香は、詩織と祐介の仲がいいことは知っていた。でも、ここまでするなんて思わなかった。詩織を許せない気持ちと、怒りが込み上げて爆発しそうになる。
「もう誰でもいいよ。自分が生き残りさえすれば」
結衣の言葉に誰もが共感した。
「私は楓にしたいんだけどいいかな?」
メンバーの反論はなかった。
「……良心が痛むが今回はそうしよう」
メンバーが部屋を出るとき、結衣が大きく言った。
「絶対に裏切らないでね。この五人でここから脱出するんだから」
彼女の重みのある言葉に彩香はただただ見ているだけだった。
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