二日目

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彩香はまだ、あの作戦について考えていた。 あの作戦は確かに強力だった。しかし、一歩間違えたら最悪な場合になってしまうと彩香は思っていた。 今日の投票では、全部で12票。その中の5票は決まっている。問題は残りの7票だ。上手く散らばってくれると、作戦通りにゲームを進めることが出来る。 だが、指名されたのが両方グループメンバーだと、最悪の事態を招くことになる。もしそうなったら、他の人を誘ってグループを作り直すか、グループが割れてお互いに殺し合うか。 「……彩香大丈夫?」 誠がホールの椅子に座っていた彩香に声をかけた。 「う、うん。大丈夫」 「やっぱり、こんなところにいると気が狂っちゃうよな。何も考えられなくなるって感じ」 とても落ち着いた声で言った。誠の視線は花江の方を向いていた。その目は明かりのない目をしている。 「言ってることと、表情が真逆なんだけど」 「もう、狂ってるのかもしれないな」 ふと、呟いて隣の椅子に腰掛けた。 「どうゆうこと?」 「彩香はここから出たいと思うか?」 彩香は軽く頷く。 「じゃあ、なんでここから出ようと必死になったりしないんだ?」 「そんな……べつに……」 急な問いかけに言葉を詰まらせた。 「こんなところにいて、人が死んで、俺たちはそれが普通になりかけてないかな? もし、そんな事になったら簡単に人を殺してしまう気がして……」 彩香には彼がそんな事を言う意図が分からなかった。脅しているのか、怖がっているか分からず声を出せなかった。 「こんな出口の扉も窓もない建物、どうやって建てたんだろうな」 「本当にこれ建物か?」 横から友也が割り込んできた。 「地下を掘って作ったとしたら?」 「そうだとしたら、あっ!」 誠が勢いよく立ち上がって、上を見上げる。 「ど、どうしたの?」 「上だ。ここが地下だとしたら、出口は天井かもしれない」 誠が走ってホールを出て行く。 「例えばの話なんだけどな……」 少し経って、誠が帰ってきて行った。 「……あったよ! 出口!!」 三人は急いで全員を呼び叫んだ。
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