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「……これが出口?」
全員の視線が集まる先は天井。その天井には四角形の跡が浮かび上がっている。
「これ扉なの? 開く感じしないけど」
「これ使って」
ホールへの扉から、祐介が椅子を持ってきて言った。
「祐介頼んだ。お前身長高いだろ」
指示された祐介は不機嫌そうに椅子の上に乗って、天井に腕を伸ばす。そして、天井に手を触れ、少し叩いたその時、
「……くっ!」
祐介が突然よろめき、首を抑えて椅子から倒れ落ちた。あいにく、頭から落ちることなく、背中から落ちた瞬間、体を回転させて衝撃を吸収するような落ち方をした。
「触るなってことか」
友也が祐介の背中をさすりながら言った。祐介は息を切らして辛そうだ。首に真っ赤な痕がはっきり残っている。
「……また……あの……電撃だ……」
ほとんど声が出ていなかった。
彩香たちの脱出の希望は、無残に消え去ってしまった。
脱出の希望が途絶えて数時間が経ち、もう二度と聞きたくない音が鳴った。
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