三日目

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「……痛った」 祐介が目を覚ます。 「起きたんだね」 彩香は祐介の身体の状態に安心した。部屋には二人のみ。 「どうして俺はベットの上で寝ているんだ?」 祐介は何か怯えているようだった。 「朝の事で何か覚えていることはない?」 短い沈黙が起きた。 「……和也……」 「和也?」 「和也に……殴られたんだ」 彩香は祐介が発した言葉の意味を理解するのに時間がかかった。祐介の右の頬が赤く少し腫れているようだった。 「……でも、なんで?」 「分からない。あいつが俺に何か言ってきたんだ」 「いつ? なんで言ったか覚えてる?」 「すまん。覚えていないんだ」 祐介は下を向いて答えると、部屋の扉が開いた。 「……祐介?」 入ってきたのは詩織だった。彩香は彼女を軽く睨みつける。 「祐介、大丈夫なの?」 「大丈夫。心配かけてごめんな」 その会話の横で聞いていた彩香は我慢の限界にきていた。 「……じゃあ和也はルール違反で死んだってことなのね」 二人の会話を遮るように声を出した。その声に、祐介は無言でうなずいた。 この時、彩香には疑問があったが聞かないことにして、早足で部屋を出た。 「……祐介は?!」 ホールへ移った彩香をみて、座っていた健が言った。 「祐介は目を覚ましたから大丈夫。少し部屋で休むって」 それを聞いて、健はほっとした様子だった。 「だけど、和也が……」 12席あった椅子の4席はホールを隅に置かれていた。ホールの雰囲気は暗いままだった。 「昨日の出来事があった時、物音とか、人影とか何か知っている人はいないのか?」 健の質問に意味はなかった。 「なんで、みんなが寝た後に、祐介と和也が廊下にいたんだろうな。和也が祐介に意味も分からず殴りかかったのも考えられない」 誠が顎に手をやって、悩んでいる様子で座っていた。誠特有の真剣に考えている時の姿勢だ。 「カード確認しないの?」 彩香の隣でそう言った麻結の手にはカードが握られていた。椅子の下からカードを剥がして、そのカードを横から見られないように手で覆い、ゆっくりそれを見た。 彩香の表情が一気に曇った。 クローバーのエース
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